-自然に寄り添い、地元の方のいいとこ取りな作品を皆さんへ提供するお店を!東原さんの場合-
出身は鹿児島市です。小学校の教員時代、初任地が曽於市末吉町でした。
2014年頃に主人との結婚をきっかけにこちらに移住して、学童保育や準備期間を経て、2016年にお花屋さん(花カフェ)をオープンしました。
教員時代、初任のときからずっと子どもたちの誕生日には必ず小さい花束を渡していて。だから、個人経営で何かと考えるときに自然と花に気持ちが向いていったのだと思います。
自分の心の中では花は近い存在だったのだ、と花屋をして気づきました。
憧れはカフェとか、くつろげる場所があって、皆がのんびりしている。そんな花屋さん、お花に囲まれた空間という憧れがありました。
お花が道具(ツール)というか、お花を通して人と人がつながる。
心を伝えたいときのお手伝いをしたくて。やはりそれが、お花なのだなと思います。
お渡ししたときにこういう顔をしてくれたとか、そのあとの感想を教えてくださったときが嬉しいです。お渡しするときに「うわー」と喜んでくださることももちろん嬉しいのですが、さらにその後のことまで教えてくださるとき。お客さま同士をつなげるお手伝いができたと思えるので、それは嬉しいです。
一つは、やはり(花は)生もので劣化していきますので、その仕入れ管理が難しいです。
もう一つは、「どのタイプのお花屋さんになるのか」と方向性が固まるまでは、すごく大変でした。
自分がやりたいお花屋さんと、お客様が求めるお花屋さんとのバランスがとれなくて。ちょっときつかったです。
色々なことができる花屋だからこそ、その方向性が決まるまでは苦労も多かったと思います。
教室に来て、初めましてと会われる方が結構いらっしゃいます。お友達同士の参加ではなく、お一人ずつ申し込みをされる方ですね。
教えることはきちんと教えます。ここにある雑貨やアレンジもそうなのですが「こうやって、ああやって、こうすればいいですよ」とお伝えします。「あとはご自由な時間でいいですよ」となってから長いです。1、2時間もおしゃべりをして帰られる。
私はその会話の外にいて、お客さま同士はおしゃべりをして帰る、その習慣がすごく好きなんです。
どうして教員を辞めたのか、次へ進むのは勇気がいる決断だとよく言われます。
そして、その理由を聞きたいとご依頼のお話をいただきました。教員の経験が活きていることは嬉しいし、無駄なことは一つもないと思います。ずっと花屋だけをしていたら多分、ワークショップをしようとは思わなかったと思います。皆と、大人も子どもも関係なくやりたい、ということは教員時代につながっている気がします。
生涯学習は、雑貨系を中心に、キャンドルとか、スワッグ、プリザーブドフラワー、インテリア雑貨をさせていただいています。楽しいです。
丁寧に丁寧にお仕事をされる方とのつながりができるようになりました。この間は、カヅラを山で採り、カゴを作る作品を手掛けている地元の方のカゴも扱わせていただく運びになりました。
地元の方のいいとこ取りな作品を皆さんに提供できるお花屋さんになったらいいなと思います。
お花から始まり、器。丁寧な、愛情を込めた「物」、ゼロから愛情を込めた「贈り物」を。その「物」は全部を含めてここ(曽於市)で皆が手作りをしたんだよ、というのは素敵だと思います。
かわいがるということです。鉢物を植えておられる方にあるあるなお話ですが、声を掛けると花が咲く。不思議な話ですけど本当だと思います。「かわいいね、かわいいね」と声をかけると長く持つことはもちろんなのですが、逆もあって。なかなか咲かない鉢へ「もう今年咲かなかったら切ろうかな」と言うとポッと咲く。「あ、聞いていたの」というお話も耳にします。
鉢はもちろんですが、切り花も丁寧に丁寧に扱ってあげると、長持ちする気がします。
お花は愛情をかければ応えてくれるという楽しさが絶対にあります。
大きな花瓶を持っている方もいれば、小さな花瓶を持っている方もいます。「家に何か飾りたいけど、何かないか」と来られたときに、パッと「これ」と言うのではなく「どういうものが好きですか、どういう花瓶ですか」と。何が欲しいのかということをくみ取るように心掛けています。
環境に優しいお花屋さんを目指しています。
ただ、口にすることは簡単なのですが、器、アレンジのカゴ1つとってもプラスチックの使用や、ごみが多いことが気になります。
手作りの器、自然素材の器にし、ぬくもりを大事にして。お花自体も、環境に優しいお花を作ろうという方たちのお花を取り入れる。私も、家で出たゴミはミミズ堆肥がいるので、そちらでリサイクルしています。
人にも優しく、ぬくもりがあって、地球にも優しい。全体的に自然の中に寄り添うことができるお花屋さんになっていけたらいいな、という壮大な夢。それを目指したいと思います。
フラワーショップではなくて「花の遊び場」。
そういうところを提供することができたら嬉しいです。お花の遊び場。
それが最高で、そこまで行き着くことができたらすごく嬉しいと思います。
曽於市末吉町はちょっと走ればお店も近くにたくさんある。静かに生活して、宮崎も鹿児島も行くことができて便利な、自分の中でバランスがいい場所だと話す東原さん。ちょっと気分転換に、ドライブがてらにちょうどいい距離とのこと。
Instagramで発信する内容には、こだわりがある。例えば、器。こういう意味があり、この人たちの合体でこの作品ができた、そしてその裏に隠された意味、そういうものが1個でも伝わればいいと話す東原さん。
お手製の花束を作りながら「物は溢れていて、安い物であればどこでも手に入るけれど、どこでも手に入らない物は愛情、手作りのぬくもりだと思う、今そこに行き着いている」と語る。